2015/08/30

富山県高岡市の近代建築

江戸時代から商工業の拠点として発達してきた高岡市ですが、明治33年の大火で市域の6割近くを消失しました。 現在ではその復旧で建てられた防火構造の土蔵造の町並みが特徴となっています。 
そんな町並みの中に現在も近代建築が多く残っています。県庁所在地の富山市が戦災で近代建築がほとんど残っていないのに対して、富山県ではそれ以外の街で近代建築を多く目にしました。

はじめに高岡市の伏木地区の建物を見てみます。 伏木町は港町で古くから北前船交易で栄えました。

高岡商工会議所 伏木支所  明治43年  ※国登録有形文化財
伏木銀行の本店として建てられました。 土蔵造りと洋風の意匠がミックスした和洋折衷の建物です。 

高岡市気象資料館  明治42年  ※国登録有形文化財
旧伏木測候所。 左のRC造りの塔は測風塔で昭和13年に建てられました。

続いて高岡の中心地にやって来ました。

富山銀行本店  大正4年 
旧高岡共立銀行本店。 設計は清水組の田辺淳吉が行い、辰野金吾が監修にあたりました。
 
井波屋仏壇店  明治38年  ※国登録有形文化財 
富山銀行本店のすぐ近くにあります。 鋳物の装飾が入った大きなアーチ窓が目を引きます。

塩崎商衡株式会社  明治40年
老舗のはかり屋さんです。昭和9年の道路拡張時に看板建築に改造されています。

福尾商店  明治33年
 坂下町交差点に建つ塗料などを扱うお店。

内田寝具店   
福尾商店の真向かいにあります。 建築年は調べてもわかりませんでしたが、屋号のデザインや造りが似ているので福尾商店と同時期の建築でしょうか。

宮崎商店  昭和10年 
外壁にはスクラッチタイルが使われています。 横から見ると看板建築であることがわかります。
 
高岡市立博物館  昭和26年
戦後の建築です。  もとは高岡産業博覧会の美術館パビリオンとして建設された後に、高岡市美術館として利用されました。 現在は高岡市立博物館の常設展示場となっています。  

中心地の近代建築は以上です。 まだまだ小さな商店や個人住宅などありそうでしたが、今回はここまで。

澤田家住宅主屋   大正初期  ※国登録有形文化財
高岡駅から南へ3kmほど行ったところにあります。 周りは畑や田んぼばかりで「なんでこんな所に洋館が!?」と思ってしまいました(失礼)。 もとは井波町にあったものを昭和26年に移築したそうです。

高岡市福岡歴史民族資料館  大正13年  ※国登録有形文化財
市の西部にある福岡地区にあります。 福岡町の役場や公会堂として利用されていました。正面のシンボルマークは福岡町の町章です。

次は高岡市で一番行ってみたかった「清水町配水塔資料館」を紹介したいと思います。 配水塔好きのみなさんお楽しみに!

2015/08/27

禄剛埼灯台 〜 石川県珠洲市

黒部峡谷を出発して富山市に着いたのが13:30。 この時点で雨の心配はないと判断して能登半島に向かうことにしました。
事前に所要時間を調べた所、旧福浦灯台を経由して最終目的地の禄剛埼灯台までは3時間半でした。  なんとか日没までにはたどり着きたいところです。 運が良ければ夕日の写真も撮ることができるかも。

最初の目的地の旧福浦灯台には15:25に到着。 能登半島の西側、志賀町にあります。
 明治9年竣工で、国内に現存する最古級の木灯台です。
 ゆるキャラ「西能登 あかり」ちゃん。

ここからが長かったです。だんだん日が傾いていく中、ガソリンスタンドに寄る間も惜しんで走り続けたのですが、ついつい寄ってしまった白米の千枚田。 絶景です。
しかし時刻は16:50。 あまり長居は出来ません。

通りすぎてしまったんじゃないかと、何度も道を確認しながら走り続けることさらに1時間。 17:50にようやく到着しました。 まだ日没までは時間がありそうです。
 明治16年竣工の石灯台です。 半円形の両翼がある、部埼灯台や金華山灯台と同タイプの灯台です。
 東京から長い道のりを経て来た甲斐がありました。
 日本で唯一「菊の御紋章」がある灯台。
 そうこうしているうちにだんだんと日が暮れていきます。
 わずかに見えた夕日。 薄暗くなってきたので点灯しました。
 使われているレンズはフランス製第2等レンズ。 普通の灯台のようにレンズを回転させるのではなく、遮へい板を回転させて点滅させています。

すっかり暗くなって、あたりに誰もいなくなったので引き上げることにします。

この日は能登半島のあたりでは宿がとれなかったので、とりあえずネットカフェや健康ランドがある七尾市を目指すことにしました。
ところが道中ガソリンスタンドが1件も開いていなく、ガス欠の恐怖と闘いながら(おそらくあと数kmでアウトだった)なんとか七尾市にたどり着きました。
駅前のタクシーの運転手さんに開いているガソリンスタンドを教えてもらって満タンにした後は健康ランドで一夜を過ごしました。

2015/08/24

黒部峡谷の近代化遺産 〜 富山県黒部市

朝の7時、黒部峡谷鉄道の始発に乗るためにやって来たのは宇奈月駅。
今回は席を予約していなかったのですが、当日券で乗ることが出来ました。

トロッコ列車には通常のオープン客車以外にも、窓付きで座席に背もたれの付いているリラックス客車などがあるのですが、写真を撮るのが目的なのでオープン客車を選びました。

トロッコ列車に揺られること25分、黒薙駅を出発してすぐに跡曳橋が見えてきます。大正14年に架けられたスパンドレル・ブレースト・アーチなのですが、列車からではうまく撮影できませんでした…。 これはやはり黒薙駅で下車して河原から撮影するのが正解なのかも。

トンネルを抜けると今度は左手に跡曳水路橋が見えてきます。 忙しい! 昭和2年製のこの水路橋は下流の柳河原発電所に送水するためのものです。

猫又駅が近づいてくると目に飛び込んでくるのが目黒橋と黒部川第二発電所です。 今回の北陸の旅はこの建物が見たくて計画を立てました。
手前の目黒橋は戦前では国内に2例しかない鋼フィーレンディール橋です(もう一つは東京都中央区の豊海橋)。
 そしていよいよ黒部川第二発電所とご対面。 以前、写真家の増田彰久さんの本でこの発電所の写真を見て、ずっと来たかった場所でした。 設計は山口文象で昭和11年の竣工です。
 当時最先端であった「インターナショナル・スタイル」です。 装飾を排した端正な外観ですが、とても洗練されていて力強い印象を受けました。 猫又駅では下車出来ないので、ゆっくり眺めることが出来ないのが残念です。

さらに上流に黒部川第二発電所の取水元である小屋平ダムがあります。こちらも山口文象が設計したのですが、油断していて撮影失敗しました。

そんなこんなで1時間20分かけて終点の欅平に到着です。 本当はここから仙人谷ダムに行きたいところなのですが、水平歩道を歩いて行くとなると山小屋に一泊しないと無理らしいので今回は断念します。 以前テレビでみた水平歩道は高所恐怖症にはきびしそうだったし…。
いずれにせよ仙人谷ダムは、小説「高熱隧道」を読んで以来行ってみたい場所なので、行くつもりです。 関電の見学ツアーに参加するのもいいかな。

とんぼ返りで宇奈月駅に戻ってきました。 駅の手前に架かっているのが、大正12年製の旧山彦橋(黒部橋)です。 もともとはあちらの上に軌道がありました。
 新旧の山彦橋。

最後に宇奈月駅よりおよそ6km下流にある昭和11年竣工の愛本発電所とその水路橋。

この後、午後から能登半島に行くかどうかずっと迷っていたのですが、天気予報が微妙(降水確率50%)だったのでとりあえず富山市内に向かいました。




2015/08/23

迎賓館 赤坂璃宮 2015参観 〜 東京都港区

今年も迎賓館 赤坂離宮の参観に行ってきました。日曜日の分しか申し込まなかったので、あまり期待はしていなかったのですが、なぜだか当選してしまいました。

 すでに2013年の参観の時に写真を載せたので、今回は少しだけにしておきます。


 写真だと天気が良さそうに見えますが、晴れ間がのぞいていたのはほんのわずかで、すぐにどんよりとした曇空になってしまいました。

2015/08/18

新潟県上越市の近代建築

お盆休みを利用して上越〜富山〜能登半島〜飛騨〜木曽というルートで周ってきました。

最初にやってきたのは上越市の高田です。 この地域は豪雪地帯ということもあって、冬期の通路を確保するための「雁木」と呼ばれる軒が設置されています。

旧師団長官舎  明治43年
この建物は旧陸軍第十三師団第3代師団長の官舎として建てられたものです。

東北電力 上越営業所  昭和3年

第四銀行高田支店  昭和6年

 ・高田世界館  明治44年  ※登録有形文化財
全国でも最古級の現役映画館です。 この日は上映していなかったのですが、中を見学させていただきました。




 ・日本聖公会 高田降臨教会  昭和13年
この高田地区にもヴォーリズ設計の教会が残っています。

高田を後にして直江津地区にやって来ました。

高達回漕店事務所(旧直江津銀行)  明治26年
町の中心地から大正7年に曳家によって現在地に移築されました。 インパクトのあるライオン像はいつ頃設置されたのか不明だそうです。

 最後に途中で見つけたひまわり畑。