江戸時代から商工業の拠点として発達してきた高岡市ですが、明治33年の大火で市域の6割近くを消失しました。 現在ではその復旧で建てられた防火構造の土蔵造の町並みが特徴となっています。
そんな町並みの中に現在も近代建築が多く残っています。県庁所在地の富山市が戦災で近代建築がほとんど残っていないのに対して、富山県ではそれ以外の街で近代建築を多く目にしました。
はじめに高岡市の伏木地区の建物を見てみます。 伏木町は港町で古くから北前船交易で栄えました。
・高岡商工会議所 伏木支所 明治43年 ※国登録有形文化財
伏木銀行の本店として建てられました。 土蔵造りと洋風の意匠がミックスした和洋折衷の建物です。
・高岡市気象資料館 明治42年 ※国登録有形文化財
旧伏木測候所。 左のRC造りの塔は測風塔で昭和13年に建てられました。
続いて高岡の中心地にやって来ました。
・富山銀行本店 大正4年
旧高岡共立銀行本店。 設計は清水組の田辺淳吉が行い、辰野金吾が監修にあたりました。
・井波屋仏壇店 明治38年 ※国登録有形文化財
富山銀行本店のすぐ近くにあります。 鋳物の装飾が入った大きなアーチ窓が目を引きます。
・塩崎商衡株式会社 明治40年
老舗のはかり屋さんです。昭和9年の道路拡張時に看板建築に改造されています。
・福尾商店 明治33年
坂下町交差点に建つ塗料などを扱うお店。
・内田寝具店
福尾商店の真向かいにあります。 建築年は調べてもわかりませんでしたが、屋号のデザインや造りが似ているので福尾商店と同時期の建築でしょうか。
・宮崎商店 昭和10年
外壁にはスクラッチタイルが使われています。 横から見ると看板建築であることがわかります。
・高岡市立博物館 昭和26年
戦後の建築です。 もとは高岡産業博覧会の美術館パビリオンとして建設された後に、高岡市美術館として利用されました。 現在は高岡市立博物館の常設展示場となっています。
中心地の近代建築は以上です。 まだまだ小さな商店や個人住宅などありそうでしたが、今回はここまで。
・澤田家住宅主屋 大正初期 ※国登録有形文化財
高岡駅から南へ3kmほど行ったところにあります。 周りは畑や田んぼばかりで「なんでこんな所に洋館が!?」と思ってしまいました(失礼)。 もとは井波町にあったものを昭和26年に移築したそうです。
・高岡市福岡歴史民族資料館 大正13年 ※国登録有形文化財
市の西部にある福岡地区にあります。 福岡町の役場や公会堂として利用されていました。正面のシンボルマークは福岡町の町章です。
次は高岡市で一番行ってみたかった「清水町配水塔資料館」を紹介したいと思います。 配水塔好きのみなさんお楽しみに!