2016/05/29

佐渡の近代化遺産と近代建築 (その1)

佐渡島へは以前から行こ行こうと思いつつなかなか機会が(資金が)無く、今回が初めての訪問となります。

島ということで悩んだのが交通手段。フェリーか飛行機か、島での移動手段は? レンタカー?などなど。
今回はレンタカーの予約が取れなかったので、フェリー&バイクで行くことにしました。

早朝6時のフェリーで向かいます。 フェリーは出港40分前には手続きを済ませなければいけないなど、面倒なのが難点。

1等じゅうたん席。 ここで2時間半の船旅を過ごします。 今まで高速船やフェリーなどいくつも船には乗ってきましたが、幸いな事に船酔いの経験はありません。

珍しい自販機発見!

朝食に船内の食堂で食べた「佐渡カレー」。

楽しい船旅も終わって(ほとんど寝ていた)両津港に着きました。 まずは両津の市街地に向かいます。

両津カトリック教会  明治20年
シンプルな外観をした木造の天主堂です。

佐渡の近代化遺産や近代建築は島の南半分に集中しているので、両津から海岸沿いに時計回りに進んでいこうと思います。

善宝寺灯台(大川灯台)  明治18年
しばらく海岸沿いに走って行くと小さな島に赤い橋がかかっています。 この先には津神神社があって、灯台はその裏手にあります。

木造で燈明台といった感じの外観。 1階は海上安全・大漁満足を祈願して善宝寺を祀り、2階に石油で明かりを灯していたそうです。

当時の大川港は加賀・能登・大阪方面からの和船が多く出入りしていたために、それらの船からの寄付で建てられた私設灯台です。

姫埼灯台  明治29年
大川港から少し先には鉄製の灯台があります。同じような鉄製灯台で神戸の旧和田岬灯台(明治17年)も日本最古の鉄製灯台と言われていますが、こちらは「現役の」日本最古の鉄製灯台です。

「世界の灯台百選」、 経済産業省の「近代化産業遺産」に選ばれています。

 佐渡に来たかった理由の一つがこの灯台でした。 貴重な鉄製灯台を間近で見ることが出来て大満足です。


この後は佐渡島南端の小木港に向かうのですが、意外と遠かったです。 全部見て回っても島半周だし時間が余ってしまうなと考えていたのですが、結構移動で時間を取られました。 意外と広いです、佐渡島(笑)。

つづく。

2016/05/20

機那サフラン酒本舗 (その2)〜 新潟県長岡市

主屋を挟んで反対側にももう一つ鏝絵の施された蔵があります。

衣装蔵  大正5年
前回の鏝絵蔵と比べると、損傷が激しく痛々しい外観です。 外壁には波板が使われているのですが、これは傷んだところの補修ではなくオリジナルです。 なんとなくこういった波板は現代だと安っぽいイメージですが、これは当時の最先端の建材だったそうです。

通風孔にはサフラン酒の瓶の意匠。
 衣装蔵の横には立派な庭園が広がっています。 ずっと放置されていて荒れ放題だったそうですが、最近になって手入れを始めたそうです。

離れ座敷  昭和6年
衣装蔵の奥に見える入母屋造りの和風建築が離れ座敷です。 

1階から見ていきます。 前知識が全く無かったので、傷みの激しい外観からあまり期待していなかったのですが、使われている木材や意匠も様々で見応えがありました。

 階段は洋風のデザイン。上を見上げると流木のオブジェがありました。

 2階へ上がってきました。

 2階もすごかったです。和風建築にはあまり詳しくないので、一つ一つがどうとは解説できないのですが、すごいのは分かります(笑)

最後に庭園に繋がる南側の入口を。 招待されたお客さんはこの門から庭園を眺めながら離れ座敷に向かったのでしょう。

 現在きちんと修復されて文化財に登録されているのは鏝絵蔵のみですが、敷地内の他の建物も素晴らしいものでした。 ただ、維持管理にはとても費用がかかるのでなかなか手が回らないとのことでした。 今回のイベントも寄付金を募っての公開だったので、少しでも貢献できて良かったです。











2016/05/15

機那サフラン酒本舗 (その1)〜 新潟県長岡市

旅行前に新潟県の登録有形文化財を調べていたら、長岡市に鏝絵(こて絵)の施された蔵があったので、見に行ってきました。

ここは機那サフラン酒という薬草酒の製造で財をなした初代吉澤仁太郎のお屋敷だった場所です。 機那サフラン酒は当時、あの養命酒と人気を二分するほどのヒット商品だったそうです。

着いてみるとラッキーな事に特別公開が行われていました。 なんでもFacebookでしか告知していなかったとか。 もちろん見学を申し込みました。

主屋  明治20年代(正面入口部分)、大正2年(大屋根部分)
当時からの大看板が目をひきます。 最初に玄関部分が建てられ、後ろの大屋根部分が後に増築されました。

鏝絵蔵  大正15年  ※国登録有形文化財
蔵の前には建築探偵で有名な東大の藤森照信先生の解説文がありました。 この蔵の鏝絵をランク付けするとしたら横綱クラスだそうです。

 ご覧のとおり蔵全体が見事な鏝絵で彩られています。 鏝絵で描かれているのは恵比寿様や大黒様、干支の動物や植物など多様です。

これらの鏝絵を手がけたのは地元の左官職人である河上伊吉です。
 
屋根の上にはシャチホコが載っています。 鏝絵以外にも瓦を使った装飾や庇を支える巨大な持送りなど見どころが多いです。

蔵の入口は主屋の中にあって、ここにも鏝絵があります。

1階にあった巨大な金庫。

2階へ上がってきました。

2階は資料を展示するスペースになっていました。


とりあえず今回はここまでです。 次回は衣装蔵、離れ座敷を紹介したいと思います。 そちらの建物も素晴らしいものでした。


つづく。