2018/09/20

2018年北海道の旅 〜 その4

北海道の旅も残すところ2日となりましたが、初日の夕張で一瞬晴れ間が見えたくらいで、ここまでは天候に恵まれていません。 予報では最後の2日は雨はふらないようなので、思う存分写真を撮りたいと思います。

8月17日
朝、借りていた車を返しに行き、バイクに乗り換えます。 バイクはびしょ濡れになってはいますが(いまさらどうでもいい)、イタズラされたりも無く安心しました。 午前中は今日も札幌市内を周ります。

最初にやってきたのは昭和11年竣工の藻岩発電所の取水堰です。 下流側から撮影できるポイントがこの1か所しかありません。

そして前から来てみたかった旧小熊邸。フランク・ロイド・ライトの弟子の一人で遠藤新やアントニン・レーモンドとも親交のあった田上義也の作品です。 訪れたときは早朝で閉まっていたのですが、最近になって釣具店(!)としてリニューアルオープンしたそうです。 釣りに興味がない人も安心してください、カフェが併設されているそうです。

北海道大学にやって来ました。 ここも札幌市の近代建築を語る上で外せません。 キャンパスを歩いていると、また雨が降ってきました。 いつになったら雨雲は去ってくれるのでしょうか。

北海道大学のキャンパス内に残っている札幌農学校第二農場。 ここには北海道の農業の基盤となった建築群が残っていて、国の重要文化財に指定されています。 建物の中も見学出来て、古い農工具などが展示されていました。

同じく重要文化財に指定されている北海道庁旧本庁舎。 なぜだか外国人観光客で溢れかえっていました。 今まで色々全国の庁舎を見てきましたが、こんなに賑わっている所は初めてです。 写真を撮るのに苦労しました。

そして閑散としている札幌市時計台。 工事中なのであたりまえか。

札幌市内の「ここだけは見ておきたい!」という場所は一応見ることが出来たので、11時半に札幌市を後にして小樽市内へ向かいました。 本当の所は札幌市内にはまだまだ近代建築があって、後ろ髪を引かれる思いなのですが、小樽市の後には室蘭市まで行く予定なのでのんびり出来ないのです。

小樽市内の近代建築はたくさん写真に撮ってきたので、今回はごく一部だけを紹介したいと思います。 写真で分かる通り、小樽に着いてようやく青空を見ることが出来ました。

この日、宿泊に利用したのは「おたる自然の村野営場」。 写真には撮れませんでしたが、ここに行く途中で初めてキタキツネに出会って感動しました。 もっとあちこちにいるのかと思っていたのですが、結局この1度きりでした。

今回の旅では荷物を最小限にしたかったので、テーブルも椅子もミニサイズ。 調理器具はお湯を沸かす道具だけ。 食事はほぼ毎日セイコーマートで調達していました。 この日はカップ麺とおにぎりという質素なもの。

町中の激シブ銭湯に入ってきて食事を済ませると、急に寒くなってきました。 この日、初めてダウンジャケットが活躍しました。 調べたところ最低気温13℃!  北海道ツーリングに行くときはキャンプ道具は削っても、防寒着はしっかり用意しておいたほうが良いです。 自分も行く前は「ダウンジャケット? 大げさじゃない?」と思っていたので(笑)。

8月18日
北海道最後の日です。 9時位まで小樽市内の近代建築を見て回った後、室蘭市を目指しました。 2時間半の長い道のりでしたが、どうしても行きたかった場所があるのです。

それがチキウ岬灯台です。 現在では地球岬と呼ばれていますが、もともとはアイヌ語で断崖を「チケウエ」と呼んでいたのが転化して「チキウ」となったそうです。 だから地球岬というのは後から来た和人が勝手に変えてしまったものなのです。

もう一つ室蘭に来て良かったと思った建物。 むちゃくちゃかっこいい円形校舎の旧絵鞆小学校。しかし、東棟は保存が決まっているそうですが、ドーム屋根の西棟は取り壊しの危機にあるようです。 ぜひとも2棟そろって残してもらいたいのですが…。

最後は旧室蘭駅舎。現在は観光案内所として使用されています。


ちょっと早めに苫小牧のフェリーターミナルに着きました。 ここで19時の仙台行きのフェリーに乗ります。
仙台、大洗、名古屋に向かうバイクが続々と集まってきます。

利用したのは太平洋フェリー「いしかり」のB寝台。 カプセルホテルよりちょっと狭い感じ。 雑魚寝よりマシかなレベル。

日が暮れだしていよいよ出航です。 さようなら、北海道。

8月19日
 15時間の船旅を終えて仙台港に着きました。 あとはこのまま高速に乗って東京を目指すのみ。


と、見せかけて最後に寄ったのが仙台市内の遠藤新が設計した旧石原謙邸。


今度こそ本当に帰ります。 明日からまた仕事です。

5時間かけて帰ってきました。 総走行距離は3000kmは超えると予想していましたが、約2800kmとなりました。

衣類の洗濯やキャンプ道具の手入れ、バイクの洗車、買い出し、写真の整理など山程しなければならない事はあるけれど、とりあえず寝ます。


北海道、来年は晴れますように。





2018/09/11

2018年北海道の旅 〜 その3

北海道の地震のニュースは驚きました。 ついこの間訪れたばかりなのでとても他人事とは思えません。 インスタグラムのフォロワーさんの投稿を見ていると大分日常生活に戻りつつあるようですが、まだ余震は続いているようで心配です。


8月15日
夜中から薄々感づいて…というか確信していましたが、朝から雨です。 天気予報では道央は今日と明日は傘マークしか付いていないので諦めて出発します。

とりあえず旭川市にやってきました。 最初にやってきたのは昭和7年竣工の旭橋。 雨の中、傘をさしながら橋の写真を撮っている人間を周囲の人達はどう思っているのでしょう。 しかし、そんなことも気にならなくなるくらい素晴らしい橋です。

旭川市も結構近代建築は多いのですが、今回訪れたのはこの4件だけで早々に市街地を後にしました。 またいつかリベンジしたいと思います。

次にやってきたのは旧国鉄函館本線の「神居古潭駅(かむいこたんえき)」。 明治34年に開業した後、昭和44年まで使われていたそうです。

次はどこに行こうか迷ったのですが、近代建築を見に行ってもこの雨ではどうせまともな写真は撮れないだろうと思い、廃墟に向かいました(笑)。 廃墟といっても閉園したテーマパークを公園として整備したものです。芦別市にある「カナディアンワールド公園」です。  現在もいろいろと営業している施設があるらしいのですが、人っ子一人いません。

もう一つ芦別市で気になったもの。 調べてみるとB級スポットとして中々面白そうな物件なので、また機会があれば行ってみたいと思います。 この時点ですでに13時を回っていたので、いろいろと端折って一気に美唄市まで移動します。 カナディアンワールドが余計だったか。

もう距離感がおかしくなっているので芦別〜美唄は近そうにみえたのですが、目的地の炭鉱メモリアル森林公園に着いたときには15時を過ぎていました。 ここには旧三菱美唄炭鉱の立坑巻上櫓や原炭ポケットなどの施設が残されています。

そしてこの日最後にやってきたのが某廃小学校。 アクセスする道が分からず、行ったり来たりしたせいで17時を回っています。 やっとたどり着いて写真を撮ると何かおかしい…。 まずい! レンズの内側が曇っています。 こんなことは初めてです。 一日雨の中使い続けたのがまずかったのでしょうか。

もう替えのレンズやコンデジを取りに戻る気力もないのでiPhoneで撮影しました…。 下の右上の写真を見てもらえばわかると思うのですが、この建物は1階部分が水没していて、中に入るには水たまりを渡って2階から入らなければなりません。 ここで悲劇が。水たまりが思ったよりも深く、両足とも膝まではまってしまいました。 カッパは着ていたものの髪の毛からつま先までずぶ濡れです。
 
この日に泊まる岩見沢市のホテルまで向かう道中、頭の中に思い浮かぶのは楽しかった昨日の稚内の思い出…。 フロントの人が引くぐらいびしょびしょの状態でチェックインした後は、夜遅くまでいろいろなものをひたすら乾かしました。

8月16日
今日も雨です。 靴の中はまだ湿っています。 昨日の雨で心が折れたので今日は札幌市に移動した後は車を借りることにしました。 自分が雨に濡れるのは別に構わないのですが、ヘルメットのシールドとカメラのレンズが曇るのは致命的です。

とりあえず岩見沢駅の近くにある岩見沢レールセンターへ。 昨日よりかは小降りで一安心。

そして三笠市立博物館の野外博物館コースにある旧幾春別炭鉱錦立坑櫓へ。 ここは森林鉄道跡を利用したサイクリングコースにもなっています。

その他の三笠市の近代化遺産たち。 旧幌内立坑櫓(左上)、旧幌内炭鉱景観公園(右上)、旧幌内炭鉱変電所(左下)、旧幌内線 唐松駅。

江別市の北海道材木育種場旧庁舎にも寄りました。 市内には他にも近代建築があったのですが、今回は断念しました。

札幌市に着いたのはお昼ごろでした。 バイクを乗り捨て(てはいないけど)、車で向かった先は「北海道開拓の村」。 ここには歴史的建造物が多数移築されていて、愛知県の「明治村」の北海道版といったところです。

到着した当初は雨も弱くてなんとか写真も撮れていました。 しかし、後半になると本降りになってきてまたレンズの曇りが発生したので、替えのレンズやコンデジでだましだまし撮影。

一応全部の建物の写真は撮ってきましたが、雨風共に強くなって最後にはこんな写真ばかりになってしまったので撤収しました。 今度天気の良い日にじっくりと見学したいです。


この2日間降り続いた雨には本当に参りました。 雨対策も完璧だと思っていたのですが、やはり一日中雨の中にいるといろんなものが少しずつ濡れていき、調子が悪くなっていきます。 道内の道路は水はけ悪いし。ただ、気温がそれほど下がらなかったのがせめてもの救いでした。

この日は宿泊先をどうするか迷ったのですが、結局道の駅で車中泊しました。 シュラフとマットがあるのでまあまあ快適に過ごせました(笑) 置き去りにしてきたバイクだけが心配でしたが…。

続く。

2018/09/02

2018年北海道の旅 〜 その2

8月13日
深夜2時半頃に苫小牧港に到着。ついに北海道に上陸です。 東北の天気が良かったので油断していましたが、この2日の間に予報はかなり悪くなっていました。 なので、計画を立て直したりで十分な睡眠はとれていません。

とりあえず、今日の午後からは雨が降らなさそうなのは稚内の方だけなので、夕張に向かった後に北上することにしました。

真夜中の北海道をナビに導かれるまま走ること1時間半。 夕張市に到着しました。 写真は市街地からはちょっと離れたところにある「滝の上公園」内の滝之上水力発電所です。

シューパロ湖方面に向かう途中で鹿のファミリーに遭遇。 ここでやっと北海道に来たという実感が湧いてきました。

シューパロ湖の完成時に水没してしまった旭沢橋梁を見に来ましたが、予想通り水位が高く橋の上部しか姿が見えません。 トラスとトレッスル橋脚が組み合わさった珍しい橋なのですが、時期がよくありませんでした。

その後、夕張市街地に移動して炭鉱遺跡や近代建築を見て回りました。

夕張市を後にして岩見沢方面に向かう途中で寄った「万字線鉄道公園」。ここには廃線となった国鉄万字線の旧朝日駅舎とSLのB201が保存展示されています。

岩見沢市から滝川市の間にも行きたいところはたくさんあるのですが、雨雲が来る前に北上したいので一気に駆け抜けます。

途中で北竜町にある日本一のひまわり畑だという「ひまわりの里」に寄ってみました。 ひまわりはほとんど終わりかけといった感じでしょうか。 お昼ちょっと前だったのでここで昼食を済まし、外に出ると早くも雨が。

カッパを着るかどうか悩んだのですが、そのまま出発したところ、途中で本降りになり参りました。 普段は高架橋の下や店舗の軒先など緊急避難先が見つかるのですが、本当に何もなく留萌の手前でようやくカッパを着ることが出来ました。

留萌港に到着したのが13時。 せっかくカッパを着たのに雨はあがったみたいです。 ここには土木学会選奨土木遺産にも指定されている留萌港南防波堤があります。

ここからはオロロンラインを北上していきます。

羽幌市内に到着しました。ガソリンスタンドやコンビニ、キャンプ場、温泉施設などもそろっているので、今日はここで宿泊することにします。

市街地を一旦離れて「羽幌炭鉱」の遺構を見て回ります。このあたりは廃墟好きには堪らないかもしれません。

羽幌では「朝日公園」という所でキャンプをしました。 キャンプ場には大きな東屋があってすでに2組の方がテントを張っていたのですが、その間にお邪魔させてもらうことが出来、雨の心配をすることもなく一夜を明かせました。 写真は撮り忘れてしまいました。

8月14日
朝起きてみると土砂降りです。 東屋が空いていて良かった…。みんながまだ寝ている中撤収作業を済ませ、早朝に出発しました。 とにかく北に行かないと雨雲からは逃げられない感じです。

途中までは土砂降りでしたが、天塩の道の駅に着くころには雨はあがっていました。 ここでようやくカッパを脱ぐことができます。
道の駅からオロロンラインに向かう途中で偶然古い建物を見つけました。「天塩川歴史資料館」 昭和26年竣工の旧役場庁舎だそうです。

ここから稚内までのオロロンラインはとても綺麗な景色で走っていてとても楽しかったです。 しかし、映像は残っていません。動画を撮影していたので、バイクを停めて写真を撮るということをしなかったのですが、なぜだか動画が一切撮れていませんでした(泣)。

ちょっとショックを抱えたまま稚内港北防波堤ドームにやってきました。 ここはずっと行きたいと思っていた場所です。 ここが今回の旅の最終目的地と言っても良いでしょう。

しかし、ここまで来て宗谷岬に行かないというのもあれなので、行ってきました。 記念撮影の行列が出来ていたので、横から撮ったこのスマホ手抜き写真しかありません。 現地ではそれほど感動しなかったのですが、家に帰って北海道地図を眺めているときに、ここまで行ってきたのかと感慨深いものがありました。 行って良かったです。

オロロンラインの動画は失敗したのですが、宗谷岬の「白い貝殻の道」と猿払の「エサヌカ線」はちゃんと撮れていました。 オロロンライン〜稚内〜宗谷岬〜エサヌカ線というルートは今回の旅で一番楽しかったです。 すれ違うライダー全員に手を振っていたので、こちらに帰ってきてもバイクを見かけると手を振りそうになってしまいます(笑)。


この後は道東に行くか旭川方面に南下するか迷ったのですが、札幌や小樽にも寄りたいので旭川方面に行くことにしました。 南の方は雨模様なのは確実でも、降ったり止んだりならなんとかなるかもしれないと考えたからです。

この日はひたすら南下して士別市の「グリーンスポーツ施設」のキャンプ場まで行きました。 無料で利用でき、バイクの乗り入れも出来て静かな良いキャンプ場でした。 テントはお気に入りの西瓜カラーのダンロップ。

テントに荷物をおいて風呂と夕食の買い出しに出かけようと公園の中を走っていると、突然目の前に近代建築が! あわててカメラを取りにテントまで戻りました。

こちらの建物は「士別市立博物館」の施設の一部で大正4年に建てられた「旧士別市公会堂」を復元したものだそうです。 どうやら移築復元ではなくて、外観のみを復元したもののようです。 どうりで下調べしたデータの中に入っていないわけです。 実物を見てみたかったなぁ。

近くには旧川南小学校に設置されていたという奉安殿や屯田兵屋もありました。 このキャンプ場を利用しなかったら一生見ることは無かったかもしれません。 ラッキー。

今日は出発時こそ雨だったものの、それ以外は曇り空で気温もちょうどよく北海道らしさを満喫出来た一日でした。

続く。