2015/12/28

滋賀県近江八幡市のヴォーリズ建築(その7)

前回の旧広瀬邸から南へ行き、県道2号の土田町の交差点を右へ進んで行くと、
4軒のヴォーリズ建築があります。

浪川邸  大正12年
県道2号沿いに建っています。 一見和風の建物に見えますが、塀の中を覗くと玄関ポーチの下に吐水口が設けられたかわいらしい池があります。

柿本邸 (旧パミリー邸) 大正13年
浪川邸の先を左に入った所にあります。 もとは近江ミッションのスタッフだったパミリー女史の住居でした。 煉瓦の門柱が目印です。

宮川邸  昭和11年
さらに先に進んで右に曲がると見えてくるのがこの建物です。 玄関が見どころらしいのですが、写真を撮り忘れてしまいました。 っていうか、玄関はどこ?

ここまでは県道2号の南側でしたが、最後の1件は道路を渡って北側にあります。

旧佐藤久勝邸  昭和6年  ※国登録有形文化財
ヴォーリズ建築事務所の所員であり、「立体芸術の天才」と言われた佐藤久勝が自らの住まいとして設計した建物です。
大丸心斎橋店や東華菜館などの意匠設計を担当した佐藤久勝の自邸だけあって随所に凝った意匠が施されています。 中はさらに凄そうなので、今度見学会が開催されたらぜひ参加してみたいものです。

以上で近江八幡市のヴォーリズ建築はおしまいです。 今回紹介したのは近江八幡駅から自転車で周れる所ばかりですが、お隣の安土駅にも「旧伊庭家住宅」があり一般公開されています(今回はうっかりして行けませんでした)。


昨日は大掃除を済ませて、今日は仕事納めでした。 というわけで、明日から九州方面に旅に出ます。 いろいろと見てくる予定なので、帰ってきたらまたブログで紹介したいと思います。

それではみなさん良いお年を!











2015/12/27

滋賀県近江八幡市のヴォーリズ建築(その6)

市内の池田町と土田町はヴォーリズ設計の個人住宅が密集している地域です。
今回は4件の洋館が並ぶ池田町を紹介したいと思います。

ダブルハウス  大正9年
この建物は2世帯住宅になっていて、建築当時はヴォーリズの両親と建築事務所の技師が住んでいました。

 2つの住宅の境界部分。 塀のデザインもここを境に変わります。

 東側から見たところ。手前の和風の建物は後年の増築部分。

ウォーターハウス記念館  大正2年  ※国登録有形文化財
今回特別公開で中を見学することが出来ましたが、ここも内部の撮影は禁止でした。
ここは記念館として活用する際に改修されたのですが、頑張って綺麗にしすぎちゃった気がします。 建築当初はこんな感じだったのかもしれませんが…。

こちらが住居として使われていた頃のもの。 いかにも古い西洋館といった佇まいが良かったのですが。 ツッカーハウスはもう少しうまく改修して欲しいものです。
2004年8月撮影

吉田邸  大正2年
ここは写真を撮りづらいのですが、冬に行ったほうが全体像を確認しやすいかもしれません。 かつての教え子で、ヴォーリズと共に近江ミッションを支えた吉田悦蔵氏の住居です。
2011年1月撮影

 ・石橋邸(旧近江家政塾) 昭和10年
吉田悦蔵氏の妻、清野夫人が婦人教育のために発足させた近江家政塾として利用されていました。

旧広瀬邸  昭和4年
池田町通りから西へむかって2つ目の通りにあります。 いくつかのサイトでは「日本料理佐々木」として紹介されていたのですが、現在は「ビストロだもん亭」というお店になっていました。

ぱっと見、普通の和風建築なので見落としてしまいそうです(実際通りすぎてしまった) 。

次の土田町で最後になります。

続く。

2015/12/19

滋賀県近江八幡市のヴォーリズ建築(その5)

今回近江八幡を訪れたのには訳がありました。 アンドリュース記念館とウォーターハウス記念館の2館が特別公開が行われていたからです。

アンドリュース記念館(旧近江八幡YMCA会館) 昭和10年 《国登録有形文化財》
ヴォーリズの大学時代の親友であり、若くして亡くなったハーバート・アンドリュース家から贈られた資金で建てられました。 今回見学できたのは1階の「祈りの部屋」と2階の和室でした。 残念ながら撮影は禁止だったので写真はありません。

裏手にも以前は出入り口があったのですが、改修の際にふさがれてしまったみたいです。
2011年1月撮影

以前の味のある雰囲気も捨てがたいです。 正面のスロープもこの時にはありませんでした。
2004年8月撮影
2004年8月撮影

アンドリュース記念館でおみやげに買ったヴォーリズのサイン入りメンタームスティック。
 
 ・近江八幡教会牧師館(旧近江兄弟社地塩寮) 昭和初期
アンドリュース記念館の向かいにあるこの建物は近江兄弟社の独身社員寮だったものです。 外観はどちらかというと和風のテイストです。

 ・郷土資料館(旧近江八幡警察署) 昭和28年
この建物は以前の姿がどうであったのか定かではないのですが、昭和28年にヴォーリズ建築事務所によって改築されたものだそうです。 警察署らしく2階の窓には鉄格子がはまっています。

 ・八幡商業高等学校  昭和13年
八幡商業高校はヴォーリズが明治38年に英語教師として赴任してきた学校です。 伝道活動に熱心なあまり2年ほどで解雇されてしまうのですが、それから30年後、校舎を改築する際に設計を依頼されます。
2011年1月撮影

玄関のガラス越しに中を覗いてみました。 腰壁に貼られたタイル、ステンドグラス、大きな柱など気になります。中を見学できる機会があればなぁ。

校舎の写真を撮ってていると部活動などで高校生たちが登校してくるのですが 、全員が元気よく「おはようございます!」と挨拶してくるのでびっくりしてしまいました。 自分の高校時代とは大違いです…。

続く。







2015/12/16

滋賀県近江八幡市のヴォーリズ建築(その4)

旧市街中心部にはかつて郵便局として使われていた建物が残っています。 現在はNPO法人ヴォーリズ建築保存再生運動「一粒の会」の事務所として使用されています。

旧八幡郵便局  大正10年
玄関部分は郵便局としての役目を終えた後に壊された時期もあったようですが、平成16年に復元されました。
 
建物の側面にはおそらく私書箱だったと思われる小さな扉がいくつも並んでいます。

中に入ると郵便局時代の窓口もそのまま残っています。

上を見上げると一段高くなった天井に天窓が設けらていました。

 先程の私書箱はこのように有効活用されています(笑)

2階のドアノブはやはりクリスタル製(1階にもありました)。

村岡邸(旧岩瀬医院)  昭和8年
永原町通りにあるかつて病院として使われていた建物です。 洋館の隣には和風の住居が建ち、渡り廊下でつながっています。

 ・滝川邸  昭和初期
ガイドブックにも載っていないこの建物はかわらミュージアムの近くにあります。 門柱がなければ見落としてしまいそうなほどごく普通の和風建築ですが、2階の格子窓が唯一特徴的でした。

続く。