2015/12/04

滋賀県近江八幡市のヴォーリズ建築(その1)

近江八幡といえばヴォーリズ、というくらい市内にはヴォーリズの設計した建物が数多く残っているのですが、僕が近代建築に興味を持って初めて近江八幡を訪れた時はウィリアム・メレル・ヴォーリズという人物の事は全く知りませんでした。 ただ近代建築がたくさんある街だなということで訪れたわけです。

そんな事前知識もなく、ひと目で心を奪われたのがヴォーリズ記念病院の「ツッカーハウス」という建物でした。 この建物のおかげでヴォーリズに興味を持ち、より近代建築にのめりこむようになった気がします。
今回は3回めのヴォーリズ建築巡りをしてきたので、過去の写真も織り交ぜつつ紹介をしていきたいと思います。 最初はそのツッカーハウスから。

ヴォーリズ記念病院 ツッカーハウス  大正7年 《国登録有形文化財》
結核療養のために設立された近江サナトリウムの本館として建設されました。 以前に解体するという話が出てかなりショックを受けていたのですが、どうやら保存活用していくようで安心しました。 補修作業が進められているようで、窓枠が綺麗に塗り替えられていました。

結核療養のために採光と通風に配慮した造りになっていて、両側には日光浴室が設けられています。
雪の積もったツッカーハウス  2011年1月撮影

下の写真は最初に訪れた時、まだ現役で使用されていた頃のものです。 職員の方に中を見学できないか尋ねてみたのですが、ダメでした。
2004年8月撮影

建物は斜面をくりぬいたような感じで建っていて、裏手に回ると2階と道路が同じ高さになっています。ここには以前もう一つ別棟があったのですが、なくなっていました。

以前はこのように道路脇まで屋根がつながっていて独特の光景を生み出していました。
2004年8月撮影

裏側はかなり痛みが激しいところもあり心配です。はがれかかっていたモルタルは補修されていましたが、亀裂の数が増えています。
2011年1月撮影

今回一番心配だったのがこの部分。 持送りの片方が完全になくなっていて、つっかえ棒が入っている状態です。 なんでこんなことに?  車でもぶつけた?

ヴォーリズ記念病院 礼拝堂  昭和12年 《国登録有形文化財》
ここは以前と比べて特に変わった様子はありません。 前回も今回も扉が閉まっていて中は見学できませんでした。

 ・ヴォーリズ記念病院 希望館  大正7年 《国登録有形文化財》
間取りが楓の葉の形をしているので、五葉分館とも呼ばれています。 中央の共用スペースを囲むように5つの病室が並んでいます。 中央の屋根には換気塔と煙突が見えます。こちらも雨戸や窓枠などが綺麗になっていました。
2011年1月撮影

入口から中を覗いてみると、ペンキ塗りの道具が置いてありました(笑)。 壁や建具も綺麗に塗り替えられています。 いつの日か公開されるのが待ち遠しいです。

 ・恒春園  昭和3年
ヴォーリズ記念病院から市街地に戻る途中の小高い丘の上に、近江兄弟社の社員と家族のための納骨堂があります。 そして近江八幡を愛したヴォーリズも仲間たちと共にここに眠っています。


 続く。




2 件のコメント:

  1. 私は、建築のことなど、詳しいことはわかりませんが、
    木枠の窓など、木が年月を伝えているのが好きです。

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    1. 僕もどちらかと言うと小綺麗に改修してあるよりかは、古びた感じのほうが好みです。
      古い洋館で木の窓枠がアルミサッシになっていたりすると少しがっかりします。 住んでいる人にとってはそんなこと言ってられないのでしょうが(笑)

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