2015/10/27

栃木県足利市の近代化遺産(その3)

次の目的地は株式会社トチセンです。 ここには大正初期に建てられた足利織物株式会社の煉瓦工場が残っています。
こちらでは社長さん自らが解説をしてくれたのですが、 なかなか面白い方で楽しい話をたくさん聞かせていただきました。
今までも映画やテレビのロケに使われてきたそうですが、2016年 春からのNHKの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』のロケ地に決まっているそうです。
2007年撮影
 ・旧足利織物赤レンガ捺染工場  大正2〜8年 《国登録有形文化財》
6連ののこぎり屋根を持つ工場です。ここで使用されている煉瓦は、東京駅や赤坂離宮にも使われている、埼玉県深谷の日本煉瓦製造で造られたものです。壁面に黒い模様がついているのは、戦火から逃れるために施された迷彩模様です。

旧足利織物汽罐室  大正2〜5年  《国登録有形文化財》
ボイラー室は新旧3つの棟からなるのですが、一番古いのが手前にある北棟です。その隣の方形の建物は昭和16年に増築された中央棟です。 当初は2機づつ計4機のランカシャボイラーが設置されていました。
 中央棟に残されている2機のランカシャボイラー。こちらも登録有形文化財に指定されています。ランカシャとはイギリスの地名で、その州の紡績会社でこのボイラーが多く使用されたのが名前の由来だそうです。

旧足利織物赤レンガサラン工場  大正2〜8年 《国登録有形文化財》
東西に長く伸びる工場棟で、一部は2階建てになっています。
 中はガランとしていて現在は特に使用されていないみたいでした。 当時の写真が置いてありました。

元は織物工場だったわけですが、現在は化成品フィルムの染色や特殊加工を主な業務としています。 業態は変わっても過去からの資産を大事に受け継いでいく姿勢は大変素晴らしいと思います。とはいっても、経営が一番苦しい時期に、敷地の一部を売却して何とかしのいだそうですが(笑)

トチセンの見学を終えた後は、今回のツアーの最後の見学地に向かいます。

旧足利模範撚糸工場  明治36年  《国登録有形文化財》
現在はアンタレススポーツクラブとして利用されています。 模範撚糸工場は各地に造られていますが、現存するのはここだけです。 中を見学できるよう観光協会が交渉したのですが、ダメだったそうです。…残念。

ツアーはここでおしまいです。 今回のツアーはモニターツアーで試験的なものだったそうで、スタッフの方たちは時間調整になかなか手こずっているようでしたが、足利市駅には予定時刻通りに到着しました。 おみごと!


次回は渡良瀬橋と中橋、あとツアーで周らなかった近代化遺産や近代建築を紹介したいと思います。

続く。




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